ん?まーたテレワークの機運が高まっているな?
ぶっちゃけIPv6とIPoEに憧れていて,これを機に回線契約をv6プラスにした人も多そう
2021年6月ごろ
大幅に改定しました,自分で好きに使おうと思ったら調べ物をする必要があったので,その結果をなるべく正しい認識になるように反映させてもらいました
ちなみに光電話ありきで話しています
各種設定やメンテナンス等にも簡単に触れています
2021年10月ごろ
数え間違いや単語間違いがありました
NTTの光回線のv6プラスの仕組みについて
大雑把に書く
概観
基本的にはJPNEのv6プラス紹介ページにある以下の図の通り
参考・https://www.jpne.co.jp/service/v6plus/
とりあえずはココを読めばあらかたを知れると思う
JPNEとは?
日本ネットワークイネーブラー株式会社の頭文字
IPoE接続を提供するVNE事業者(後述)の一員であり,黎明期から携わってきた
ユーザーが知っておくべきこと
ネットワーク構成が完全にIPv6 IPoEになる
PPPoEの構成は自力で追加しない限りは存在しないし,IPv4ネットワークにはv6プラスの機能があって初めて接続できる
なので従来の回線認証もIPv4アドレスもない,手間が省けるのと同時にユーザー視点ではブラックボックスな領域が増える
NGN,ONU,HGW,VNE,それぞれの役割
NGN
NTTがつくった次世代の回線網,光ファイバで繋がれまくっている爆速(?)の回線
特にIPv6構成されているものをv6プラスは利用している,NGN網と呼ばれる
ONU
NGN網の末端の基地局から伸びてくる光ファイバを受け入れる機器
HGW
光電話,およびその他の宅内にある機器を,NGN網を接続する機器
VNE
事業者一覧・https://www.ntt-east.co.jp/info-st/ipoe_menu/
従来まではISPの各社がそれぞれで自前の機器を使ってPPPoEセッションを扱っていたが,v6プラスではNGN網からVNE事業者の機器を通されてインターネット網に接続される,ISP事業者はVNE事業者に対して相乗りしていると言える
小規模なISP事業者が小規模なVNE装置に小規模に投資してもシステム全体を見ると効率が悪くなる,ゆえに相応の規模と機能を持つ以下の9社
- BBIX株式会社
- インターネットマルチフィード株式会社
- 日本ネットワークイネイブラー株式会社
- ビッグローブ株式会社
- 株式会社朝日ネット
- エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
- 株式会社ファミリーネット・ジャパン
- アルテリア・ネットワークス株式会社
- 楽天モバイル株式会社
が現在のVNE事業者の一員である(予定では最大16まで増えるらしいが)
ISP事業者を選ぶのも大事だが,かつてISP事業者にもやったようにVNE事業者の空き具合を見るのも大事になったかもしれない
しかし少なくとも下手なPPPoEよりは確実に早くなるので気にしなくて良いと思う
ONUとHGWについて
一体化されているか,それとも別々か
両方ありえるが,最近は一体化されたONU兼HGWというものが多い,というよりも多分そっちになると思う
ただし5Gbps回線や10Gbps回線になると別々の機器として提供される,2Gbpsまでなら一体化されていると考えて良い
役割の違い
大前提としてHGWは光電話をIP電話として機能させるために存在する,これはONUだけで実現できない(電話線用の実装や処理が必要なので)とされる
そのついでに他の宅内にある機器をインターネットに接続させたり,プライベートなネットワークを構成したりのサポートもHGWがやっている
そしてONUの出口とHGWの出口では,インターネット上におけるレイヤ位置もプロトコルも違うので,ONUの出口にそこらの普通の機器を繋いでも使い物にはならない,専用のお高いスイッチ機器を使えばHGWの代わりに動作するらしいが…?
(HGWとONUが一体化されているならこんなこと気にしなくても良い)
どうやってIPv6通信とIPv4通信を相互に交換するのか
参考・https://www.nic.ad.jp/ja/materials/iw/2016/proceedings/t04/t4-sahara-2.pdf
ちょっと長いスライドだけど
交換する方式の違い
※大まかに2つ
交換する場所の違い
NATとはアドレスの変換のことだが,グローバルでユニキャスト(インターネットに繋がっていればまず辿り着ける)がデフォのIPv6による通信(ローカルアドレスやマルチキャストアドレスもあるが割愛)を,グローバルでユニキャストなIPv4による通信に変換することを指す
ところがIPv6はIPv4よりもアドレスの総量がはるかに多いため,対応するIPv4アドレスの割り振りに難儀する,そのため32bitで表現されるIPv4アドレスに加えてポート数を用いることで,グローバルでユニキャストな1つのIPv4アドレスを複数のユーザーで共有するNAPTを利用する
従来のIPv4においても宅内のLANと外界のインターネットを繋げるためにNAPTは既に使われているが,ローカル・グローバル間の4to4のNAPTと呼ばれるのに対し,こちらはグローバル・グローバル間の6to4のNAPTと呼ばれる
要するに通信経路上でグローバルIPv4アドレスを与えられるのはどこという話である
※大まかに2つ
MAP-Eとは
トンネリングかつCPE NATな方式であり,v6プラスにおいて採用されているものである
CPE NATに必要な情報はNGNからHGWに降ってくるので,HGWを設置して接続した瞬間に確定する(v6プラスの開通手続きをしていれば),ユーザー情報はNGN上のVNE側装置やその他のサーバに勝手に送られているのでPPPoEのような回線認証は不要になる(これがIPoEの強みである)し,HGWが勝手に状況を管理してくれる
その他の方式については割愛
自前でHGWを用意する場合
先に挙げたように専用のお高いスイッチ機器で自前でHGW機能を代替したい場合,ONUの直下に置くかMAP-Eが無効になっているHGWの直下に置く必要があるとされる
HGWがMAP-EをやっちゃうとそのHGWの配下からはMAP-Eに手出しできないのだ
(逆に言えばONUは単純に光ファイバとLANケーブルの変換とグローバルIPv6アドレスの管理しかやってないと言えそう)
参考・http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/docs/v6plus/
HGW(ONU)の設定の備忘録
設定上の注意
- HGWに繋いだマシンからブラウザのGUIを介してできるようになっている
- 設定を変更した際に取り返しのつかないことが起きないように気をつけよう
- 万が一そういう事が起きても大丈夫なように設定ファイルを保存しておこう
- 流石にHGW設定画面にたどり着けなくなることはないとは思うけど…
- HGWの種類によってはファームウェアの表示や機能に差があるかもしれない
- V6プラスは対応ルーターが決まっているので注意
メイン設定画面
場所
- http://192.168.1.1
- 初期設定だとほぼ必ずこうなっているはず
- わかんなくてもネットワークの画面にルーターの位置が書いてあるのでわかるはず
- これをブラウザで叩けばよい
中身
- 基本設定
- 電話設定
- 無線LAN設定
- 無線カードや無線機能がない限りでは設定はできない
- 市販のWifiハブの方が使い勝手はいいのでそっちでよくね
- 無線カードや無線機能がない限りでは設定はできない
- 詳細設定
- メンテナンス
- 情報
- 現在の状態
- ONUとHGWの基本情報がわかる
- 通話ログ
- お電話の履歴が覗ける
- DHCPクライアント取得情報
- DHCPv4サーバ払い出し状況
- HGWが下の機器にどれだけローカルIPv4アドレスを配布したかを表示
- DHCPv6サーバ払い出し状況
- セキュリティログ(IPv4)
- 結構な量が弾かれていたりする
- 代表するパケットフィルタ設定(v6プラスでの通信に成功していると,IPv6パケットフィルタ設定(IPoE)が相当する)が適用される
- セキュリティログ(IPv6)
- こちらも結構な量が弾かれていたりする
- こちらも代表するパケットフィルタ設定が適用される
- 何か他にも色々あるのでONUファームウェアに備え付けのヘルプページを見て欲しい,大して役に立たない場合がほとんどなのでそれからググろう+
- 現在の状態
NTT 東日本が設置しているデフォルトの DNS サーバー (「2404:1A8:7F01:A::3」 および 「2404:1A8:7F01:B::3」) に対して、本サービスの DDNS ホスト名の解決クエリを送信するだけで、本サービスの DDNS ホスト名に関連付けられた IPv6 アドレスの応答を受けることができます。
IPv4設定
さっきのメイン設定画面とは別の場所にコイツがいたりする
IPv6のネットワーク網を用いるサービスに切り替えるとIPv4に関連する設定がONUのメイン設定画面ではできなくなるので,その代わりにコイツを使う
場所
- http://192.168.1.1:8888/enabler.ipv4/main
- メイン設定画面のurlに続きポート
:8888
とソフトウェア名enabler.ipv4
を指定する
- メイン設定画面のurlに続きポート
配信済事業者ソフトウェア一覧
中身
- Topページ
- ここにはあなたが利用できる(IPv4のネットワーク網からあなたを見た時の)IPv4アドレスとそのポートが表示される,つまりは超絶クソ個人情報に相当する,取扱注意
- スクショを撮ってネットの海に流そうものなら…
- 前述の通り,IPv6ネットワークからIPv4ネットワーク網に乗り換えると,必然的に1つのIPv4アドレスを複数人で使うことになり,固定でIPv4アドレスを1つ占有しない限りは65535個のポートの分譲が発生する,好きなポートが使えないという制約がつく
- 具体的には「連続する16ポートをバラバラに15区分,計240ポート」が割り当てられるらしい
- IPv4アドレスも使用可能ポートも変わることはなさそう(今のところは)
- ここにはあなたが利用できる(IPv4のネットワーク網からあなたを見た時の)IPv4アドレスとそのポートが表示される,つまりは超絶クソ個人情報に相当する,取扱注意
- IPv4パケットフィルタ設定
- IPv4の書き方で,通信のフィルタリングができる
- 静的NAPT設定
- IPv4の書き方で,ポートの公開と通信の変換ができる
- 高度な設定
- ユーザ名/パスワードの変更
- やったことないしやめたほうがいい
v6プラスへの移行
v6プラスへの移行の流れ
旧来回線から移行するためのステップを示す
IPv6へ移行する
契約内容を変更
回線事業者とプロバイダの双方に確認を取る 料金も変わるかもしれないのでプランの見直しの良い機会かもしれない
ONUとHGWを新調
この時点で必ずv6プラスに対応できるONU・HGWを選定しておく
回線を新調
場合によってはそうなるかもしれない,色々と工事が必要ななケースもある
IPv6へ切り替わるのを待つ
混んでいたら数週間くらいかかるかも,それまではIPv4 PPPoEが適用されている
ONUの設定を確認する
ようこそIPv6の世界へ,ただしこの時点ではまだIPv6 PPPoEが適用されている
v6プラスへ移行する
v6プラスへの移行の手続きをする
プロバイダに申告,大抵の場合はv6プラスは無料のオプションなのでご安心を移行のための料金やその後の利用のが無料じゃない場合があるらしい,それも含めて予算を見た方が良いかも
v6プラスへ切り替わるのを待つ
割とすぐ切り替わった
ONUとHGWの設定を確認する
まずは各種の設定画面の表示がv6プラスにおいてあるべき状態かどうかを確認する
そしてこ↑こ↓のv6プラス接続の確認サイトで全てのチェックをパスするかを確認する
それが終われば…
ようこそ,v6プラスの世界へ!
ルーターの再起動および初期化
どういう時にやるべきか?
- 動作が重い
- 通信が切れがち
- 設定が反映されない
- パスワードぜんぶ忘れた
みたいな時はまず再起動すると解決するかも
それでもダメなら初期化すると解決するかも(特にパスワード関係)
事前準備
本体設定を再利用できるように,「メンテナンス」→「設定値の保存&復元」から.config
ファイルを落としておく(暗号化されている)
このファイルを落とした時点で設定されているHGWのログイン用のパスワードが,.config
ファイルを解凍してHGWに読ませるためのパスワードになる
それすらも忘れたなら初期化して最初から設定しやがれ
ちなみに…http://192.168.1.1:8888/enabler.ipv4/mainの設定内容は保存されないので,スクショかなんかでメモっておくとよし
再起動
方法
「メンテナンス」→「機器再起動」→「再起動」で実行
もしくは本体の再起動ボタンを押す
所要時間は1分
何が起きるの?
普通に再起動するだけ
特に気にする必要はない
何をするべきなの?
特に必要ない
初期化
方法
「メンテナンス」→「設定値の初期化」→「工場出荷時設定に戻す」で実行
もしくは本体の初期化ボタンを押す
所要時間は2分
その後にちょっと設定を要求される
何が起きるの?
順を追って話そう
工場出荷時に戻る
完全にまっさらになる
どっかからISP情報が降りてくる
回線(物理的な意味で)と契約者(住所的な意味で)は一対一の関係をしているので,契約ISPの情報がまず降りてくるっぽい
勝手にIPv4 PPPoEで接続を始める
その契約ISPを相手に通信を始める,ユーザーによる認証は不要
この時だけPPPoE通信の設定画面が見られるようになる
まだこの時点ではhttp://192.168.1.1:8888/enabler.ipv4/mainには接続できない(ソフトウェアがない)
ここでPPPoEを強制的に切ったらどうなるんやろなぁ
勝手にIPv6 IPoEで接続を始める
2分ほどで設定が完了しPPPoE通信の設定画面がグレーアウトする
勝手にv6プラス設定の適用を始める
例のIPv4 over IPv6用のソフトが自動的に落ちてくるっぽい
何をするべきなの?
管理ユーザの登録
ユーザー名とパスワードを設定しよう
hhttp://192.168.1.とhttp://192.168.1.1:8888/enabler.ipv4/mainでは別々の設定が必要になる
設定ファイルの復元
メンテナンス→設定値の保存&復元に行ってファイルを選択,初期化前に落とした.config
ファイルを引っ張ってくる
当時のパスワードを入力して復元実行する
1分ほどで終わる
IPv4 over IPv6用の設定
http://192.168.1.1:8888/enabler.ipv4/mainの設定をやり直す
v6プラスそのものについてのメモ
そもそも何が利点なんだっけ
- IPv6が使用可能になる
- グローバルアドレスがより身近な存在になる
- ぶっちゃけIPv4同士のNATに魅力がない
- PPPoEセッションが不要である
- 結果的には速度が落ちづらい(落ちないとは言っていない)
現実的には
ISP事業者の中にはちょっと前まで「v6プラスならトラフィックが無制限」などと言う組織もあった気がするが,実際は
といった制約があり,いちユーザーには速度の向上にはもはや限界がある
まずは宅内の機器のネットワーク装置やLANケーブルを見直した方がいい,そこが抜けているといくらいい回線でも端末の通信速度は上がらない
参考文献
以下を読もう
ドンっ!!(10分講座)
ドンっ!!(ガチな仕様解説書)
ドンっ!!!(更にガチな仕様解説書)
IPoEを用いつつIPv6ネットワークからIPv4ネットワークへの通信の接続に用いられる技術である,JPNEのv6プラスやBIGLOBEのIPv6オプションが該当するMAP-E方式においては,IPv4ネットワーク行きの通信は HGWでカプセル化されIPv6ネットワーク(NGN網)に流される,そして運ばれた先(NGN網の末端にあるVNE事業者設備)で元の通信に戻され,IPv4ネットワーク上の目的のサーバーに到達する,という流れを経る
このために必要なグローバルIPv4アドレスの操作はHGWが管理する
もう1つの技術であるtransix(DS-Lite)も同様にHGWから先の通信経路ではIPv6アドレスが用いられるため,IPv6 IPoEで通信するためにはやはり対応する製品とサービスに変更する必要がある(こちらの方が実装の時期が早かった)
ただし,実際にグローバルIPv4アドレスを与えるのはHGWではなく事業者側の装置ゆえ,ポート開放の設定などがユーザーには簡易に行えないのが欠点である
この仕様の違いによって,対応するONU・HGWの種類が異なっていたが,つい最近になってNTTが双方に対応できるような製品を用意していた
もし自宅の自前の機器を選んでグローバルIPv4アドレスを用いてポート解放するのであれば,HGWでNATが行えるMAP-Eを選ばざるを得ないという現状ではある
疑問点
「IPv6パケットフィルタ設定(IPoE)」の挙動
「IPv6セキュリティのレベル」→「ファイアーウォール機能」で「高度」「標準」「無効」が設定できると思うが,
「IPv4パケットフィルタ設定」の挙動
- 上のパケットフィルタと矛盾させるとどうなる?
フィルタの内容
- どのポートを縛るべき?